Amazonのkindleでセールで購入し、「切れない糸 (創元推理文庫)」を読みました。
「和菓子のアン (光文社文庫)」を書かれた坂木司さんの本です。
主人公は父親の急死で突然クリーニング店を継ぐことになった就職の決まっていない大学生。
彼と同じ商店街にある喫茶店でアルバイトをしている同級生が探偵役になり、クリーニングにまつわるちょっとしたミステリーを解決していきます。
嫌な人もいるけれど、謎が解ければみんないい人で、主人公の母親、クリーニング店の従業員、商店街の人々など、ほのぼのとした日常のお話です。
私はこういうほのぼの話は積極的に読みたいと思う方ではありませんが、読めばとっても面白い魅力的なお話です。
商店街では殆ど買い物したことがありませんが、東京でも商店街は地域に根付いていて、人間関係の密着度など田舎と変わらないんですね。
東京の商店街出身の女の子と、地方出身の女の子の間のギャップのお話がありましたが、地方出身の私は「うんうん」と納得しながら読みました。
東京って田舎者には憧れの場所なので、東京出身の子たちが地味で流行に興味がなかったりすると不思議なんですよねー。
お話はだいたいクリーニングの内容に主人公が疑問を持つことから始まり、商店街を舞台に地味に進んでいきます。
でも、主人公は最初は失敗も多かったクリーニングの仕事に面白さを感じるようになり、身近な人やお客さんとの絆「見えない糸」をはぐくんでいくんです。
冒頭で死んでしまう主人公のお父さんもしっかりと「見えない糸」を残していってくれました。
地味だけど、最後まで読むとしんみりとしてホッと元気が出てくるようなお話です。
ネタバレになるので詳しくは書きませんが、ラストに映画の撮影所の話があります。
着物やドレスなどの衣装。ここだけとっても華やかな映像が浮かんできます。
もし映画化するなら、製作費の90%以上をこの撮影所の衣装につぎ込んで作って欲しいなと思いました。
ハラハラするようなシーンもないので、暇つぶに良い本を読みたいと言う時におススメです。