Amazonのkindle日替わりセールで購入しました。
トレバー・ノアは南アフリカ出身のコメディアンで、黒人と白人の間に子供を産む事が犯罪だったアパルトヘイト政策の時代に黒人の母と白人の父から生まれました。(生まれたことが犯罪です。タイトル回収)
それかが、どういう経緯か、現在はアメリカで人気風刺ニュース番組「ザ・デイリー・ショー」の司会をしています。
子供時代の事を面白おかしく書いてて、スタンドアップコメディのネタって感じです。(スタンドアップコメディのイメージはAmazonプライムビデオで見た『マーベラス・ミセス・メイゼル』です。このドラマは面白かった )
原書の「Born a Crime: Stories from a South African Childhood」オーディオ版は本人が英語で話しているらしいけど、英語が分かれば面白そうです。(Audible(オーディブル)で聞けます)
人種差別が酷い所だという南アフリカだけど、混血のノアは各人種いいとこどりをしていて、あまりひどい目にはあってないように思いました。
アパルトヘイトが撤廃される前は、人種で住むところも完全に別れていたので、白人の住む都市部にはIDナンバー入りの身分証を持ち歩かなければいけないし、身分証がなければホームランドに強制送還されたり逮捕されてしまったらしいです。
過去の話なんだけど、なんだか漫画や映画、ゲームで見るような近未来SFのっぽいなと思いました。(教会や宗教の話題も多くて、ゼノギアスのソラリスのイメージが…)
それで、隠れて暮らしていたけど、ノアが10歳の1994年(結構最近だな…)に撤廃されてからは堂々と暮らせるようになりました。
アメリカのドラマを見たり、マクドナルドが出来たら毎日買いに行ったり、プレイステーションや、パソコン、インターネット。ちょうど同世代の私には、「そうそう!」と懐かしく共感できる話ばかりです。
地球の裏側にあるような南アフリカでも、日本と同じなんだなと思いました。
これも翻訳のおかげですね。
「人は人種よりもどんな言葉を話すかによって、自分と同じ人間だと判断する」と言うようなことが書いてありました、本当にその通りです。
考えてる事がわかるとすごく身近に感じます。
南アフリカは言葉が黒人の間でもたくさんあり、英語以外にもいくつも言葉を話せるノアはいろいろな所に受け入れて貰えました。(しかし、彼女とは言葉が通じなかったとか…)
ノア自身は、どの人種にも属さない事で「自分はカメレオンだった」と孤独を感じているようだけど、それがコメディアンとしての仕事につながったんじゃないかな?
まあ、言葉が話せてもコミュニケーション能力がなければダメだろうけど。
そして、何より母親がすごい人だったと思います。
貧乏ではあったけど、子供に必要なものを与え、生き方を教えてくれました。南アフリカでは相当めずらしい人だったようですが、日本でもそうだよね。
まあ、マザコン男の言ってる事だから話半分に聞くとしても、相当にいいお母さんです。
「愛せるなにか、無条件に愛し返してくれるなにかが欲しかったからよ」とお母さんが言っているけど、お母さんの生い立ちが過酷なので、わかる気がします。
で、生まれたノアでしたが、「どうしようもないのが生まれてきて」と言われています。
冗談なんだろうけど、確かに、かなりやんちゃ(やんちゃで済む?)でとんでもない子だったね。立派になって良かった。
南アフリカもトレバー・ノアも知らずに読んだけど、面白い本でした。
でも、この本はアメリカで成功したトレバー・ノアが、アメリカで発売したアメリカ人向けのほんです。
時々、アメリカ人の受けがいいように書いてあるんじゃないかなって思う所がありました。
警察が信用できず、犯罪がすごく身近にある場所で、書けないような事もあったんじゃないかなと思います。
もし、この本が南アフリカ向けの本で、直接日本語に翻訳されていたら同じような感想を抱いただろうか?
日本人の私もノアと同じように、アメリカのドラマを見たり、マクドナルドに行ったり、アメリカの文化を子供の頃から身近に感じて育ってきました。
アメリカと言うワンクッションがあるから、理解できることが多いのかも?
南アフリカ産のグレープフルーツを買う時に、どんなところから運ばれてきたのかと、思いを馳せます。