kindle版がセール中だったので読みました。
清朝の王女で、「男装の麗人」と言わた川島芳子が、何故男装をするようになったのかと言う、10代の頃のお話です。
聞いた事がある名前だけど、ほとんど知らない興味のない時代の話でしたが、面白かったです。
史実の「はいからさんが通る」とあるように、最初は主人公が7歳で日本人の川島浪速の養女になるまでの話で堅苦しいですが、中盤に松本連隊所属の軍人、山家亨少尉との出会いから一気に甘酸っぱい青春ラブストーリーになり面白くなります。
ただのラブストーリーではなく、芳子を狙う勢力があり、アクションシーンも多々あり、最後まで芳子を守り続けてくれる山家少尉がとにかく格好いいです。
中国と日本、東京、松本、満蒙独立、国民党、ラストエンペラー、関東大震災と、歴史的な事がたくさん出てきてスケールが大きいお話のはずですが、不思議とこじんまりとした物語になっています。
清朝の王女で歴史的に重要な意味を持つ芳子。だけど、自分の生きる理由もわからない悲しい女の子なのです。
そんな少女の目を通してみると、世界はハコのようなものなのかもしれません。
セリフ回しもあり、ハコの上で繰り広げられる舞台を見ているような小説でした。
読み終わった後に知りましたが、作者の松岡 圭祐さんはミステリー作家なんですね。
それを知ると、密室トリックのような話でもありました。史実を次々にドミノのように並べてゴール(男装完了)までつないで行く感じです。
架空の人物だと思っていた山家少尉も実在の人物なようで、調べると(調べない方がいい)今後もドミノはつながっていくようです。
続編は史実を元にした架空の話として、ハッピーエンドを期待したいです。