『離婚してもいいですか? 翔子の場合』をKindle Unlimitedで読みました。
いつもニコニコしている翔子さんが主人公です。
夫と小さい子供2人の4人暮らしです。
家事・子育てを手伝わない夫にいつもニコニコしていますが、心の中では「私は夫が嫌い」と不満を溜めています。
確かに夫は夕食に点数をつけて「80点!」と言ったり、イライラさせるところもあると思うけど、受け止め方次第だと思うんだよね。
嫌なら嫌って言えばいいし、自分も点数づけに参加して「今日はちょっと失敗しちゃった☆」とか会話すればいいのに。
それをやらずに黙ってニコニコ。
そんな状態で、夫が妻が不満を持っているなんて気づくわけない。
『嫌いな夫』を作たのは、他の誰でもなく翔子さんだと思う。
まあ、思いやりのある夫ならそもそも何も言われなくても家事や子育てを手伝ったりしてくれるかもしれないけど、翔子さんの夫だって悪い人ではない。
子供を産んだ後に翔子さんの事を思って仕事を辞めていいと言ってるし、ラストでは家事も育児もやってるし、そもそも料理の点数が「80点」って言うのはかなり優しいと思う。
ただ、この思いやりは心の中の事。もう少し言葉で分かりやすく優しさを伝えていればイロイロ違ったんじゃないかと思う。
けれど、いつもニコニコして不満を溜め込んでいる翔子さんが会話する事を拒絶しているんだよね。
その原因は翔子さんの父親にあるわけだけど、その原因に気づいてからも結局あまり変わってない気がします。
ここからネタバレ
物語は、離婚の為に仕事をはじめて頑張る翔子さん、でも、夫も改心したし、仕事で夜勤があると子供たちの預け先がない!、と結局は離婚はせずに終わります。
その5年後、娘の視点で描かれた話が悲しいです。
翔子さんは「また始まった ママの大きなひとり言」といつも大きな言で夫の不満を言っているようです。
いつもニコニコするのを辞めて、不満を表に出すようになったのは進歩なのかな?
でも、夫に直接言わないと何の解決にもならない気がします。
自分は我慢してるって、いい事をしてるって翔子さんは思っているのかもしれないけど、いつも母親の不満を聞かされる子供が可愛そう。
この本の中で一番思いやりがないのが主人公の翔子さんだと思う。
夫の気持ちも子供の気持ちも考えずに、私は我慢してる頑張ってる!って独りよがり。
話が通じない夫もいるけど、この本の夫は違うし、自分の気持ちを伝える事を放棄してる翔子さんがそもそも、不満の原因です。
両親の仲が悪い家庭も嫌だけど、翔子さんの場合は離婚しても何かしら不満をかかえてそうで、一緒に暮らす子供はどっちにしろ可哀想だな。
イライラする所もあるけど、面白かったです。